北京の空港で北朝鮮行きの専用機に搭乗する外国記者団(写真共同取材団)=22日、ソウル(聯合ニュース)
北京の空港で北朝鮮行きの専用機に搭乗する外国記者団(写真共同取材団)=22日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮は、非核化の初期段階とされる北東部・豊渓里の核実験場廃棄を予定通り行うとみられるが、当初の約束とは異なり韓国記者団は招待されなかった。 来月12日の朝米(米朝)首脳会談に先んじて核実験場を廃棄することで非核化の意志を誇示しながらも、韓米首脳会談と朝米首脳会談を控え米国の政策決定に影響力を行使できる韓国への圧力は緩めないという意図と分析される。 米国、英国、ロシア、中国の記者団は23~25日の間に行われる核実験場廃棄の式典の取材のため、22日に中国の北京首都国際空港から専用機で北朝鮮東部・元山に入った。 しかし、招待対象に含まれていた韓国記者団8人については北朝鮮が名簿の受け取りを拒否し、北朝鮮行きはかなわなかった。韓国政府の関係者は「今日の訪朝は難しいとみられる」とし、「残念だ」と述べた。もちろん式典までは時間があり、韓国記者団が今後陸路で訪朝することもできるが、そのような可能性は低いとの観測が支配的だ。 北朝鮮が核実験場廃棄の方針を初めて明らかにしたのは、先月20日に金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)の主宰で開催された党中央委員会総会の席だった。 その後、金委員長は同27日に行われた南北首脳会談で5月中に核実験場を廃棄するとし、この場に韓国と米国の専門家とメディアを招待すると述べた。北朝鮮は今月15日、通信社と放送局の各1社から4人ずつ、計8人の記者を招待するとの通知文を韓国側に送付した。 しかし北朝鮮が翌16日未明、韓米合同の定例航空戦闘訓練「マックスサンダー」や、2016年に脱北して韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使の発言などを問題視し、同日に予定されていた南北閣僚級会談を取りやめたことで、南北間の雰囲気は一転した。 北朝鮮はさらに、李善権(リ・ソングォン)祖国平和統一委員会委員長が17日に「深刻な事態が解決されない限り、南朝鮮(韓国)の現政権と再び対座することは容易に実現しないだろう」と非難するなど韓国への圧力を強め、ついに韓国記者団の訪朝を許可しなかった。金委員長は文大統領との約束に背いてまで南北関係に揺さぶりをかけているといえる。 一方、北朝鮮は米国に対し、金桂官(キム・ゲグァン)第1外務次官の談話で「朝米首脳会談を再考」する可能性を示唆したが、中止はしないもようだ。 一部では核実験場廃棄の式典自体が中止される可能性も取り沙汰されたが、これを予定通り行うことで朝米首脳会談を控えた現在の流れを維持し、状況を管理しようという北朝鮮の意志がうかがえる。 韓国政府も22日発表した声明で、韓国記者団の訪朝が白紙となったことに遺憾を表明する一方で「核実験場廃棄が予定通り進んでいる点に注目し、北の今回の措置が朝米首脳会談の開催成功につながることを期待する」と明らかにした。 北朝鮮のこのような動きは、この日夜に行われる韓米首脳会談と来月12日の朝米首脳会談を前に、米国に対する交渉力を引き上げるためだとの分析も出ている。
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