昨年2月、開城工業団地の操業中断を受けて荷物を運び出す韓国企業関係者=(聯合ニュース)
昨年2月、開城工業団地の操業中断を受けて荷物を運び出す韓国企業関係者=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国銀行(中央銀行)は21日、北朝鮮の2016年の実質国内総生産(GDP)が前年比3.9%増加したとする推計を発表した。国際社会の厳しい制裁にもかかわらず15年のマイナス1.1%成長からプラス転換を果たし、1999年(6.1%)以来17年ぶりの高水準となったようだ。韓国の昨年成長率(2.8%)も上回っている。◇南北の成長率が8年ぶり逆転 北朝鮮の成長率が韓国を上回ったのは08年以来、8年ぶり。世界経済の影響を受ける韓国はリーマンショックにより同年は2.8%成長にとどまった一方、閉鎖的な北朝鮮経済は3.1%成長した。 韓銀は北朝鮮の昨年の高い成長率について、干ばつなどの影響で15年に経済が大きく萎縮した反動によるものだとし、「15~16年の年平均成長率は1.3%と、このところ1%台前半の低成長傾向が続いている」と説明した。 ただ、金正恩(キム・ジョンウン)体制発足前に比べると比較的安定した成長を続けており、専門家の間では北朝鮮が実用主義的な政策を取っているためとの見方があるという。金正日(キム・ジョンイル)総書記時代の17年間の平均成長率は0.2%、11年末の金総書記の死去を受けて発足した金正恩体制の5年間の平均成長率は1.2%だ。 昨年の北朝鮮の1人当たり国民総所得(GNI)は韓国の4.6%にすぎなかった。北朝鮮の人口は韓国の約半分の2489万7000人と推定される。◇鉱工業や電気ガス水道業などが成長 昨年、北朝鮮経済では電気ガス水道業が22.3%の成長を見せた。前年の15年は北朝鮮で主力の水力発電が干ばつの影響を受け、マイナス12.7%だった。 鉱工業の成長率は6.2%で、17年ぶりの高水準。鉱業は石炭や亜鉛鉱石などの生産が増え8.4%成長した。重化学工業を中心に製造業も4.8%伸びた。 北朝鮮の産業構造に占める割合は鉱工業が33.2%と最も高く、次いでサービス業が31.1%、農林漁業が21.7%となっている。◇制裁下でも北朝鮮の貿易額4.7%増 国際社会の制裁にもかかわらず、北朝鮮の昨年の貿易額(韓国との貿易を除く)は前年比4.7%増の65億5000万ドル(約7327億円)を記録した。15年は17.9%減少したが、増加に転じた。輸出が4.6%増の28億2000万ドル、輸入が4.8%増の37億3000万ドル。 北朝鮮による昨年の4回目、5回目核実験や相次ぐ弾道ミサイル発射を受け、国連安全保障理事会は北朝鮮の石炭輸出を制限するなど制裁を強化した。大韓貿易投資振興公社(KOTRA)によると、石炭は民生用取引が除外され効果が限られており、さらに下半期の単価上昇が重なったことで貿易額が増えたという。 一方、韓国統一部の統計によると、韓国と北朝鮮の昨年の貿易額は3億3000万ドルで、前年比87.7%減少した。韓国が昨年2月、制裁措置として南北経済協力事業・開城工業団地の操業を中断したため。同4月以降の搬出入はゼロだった。
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