正男氏殺害に関与しているとみられる人物について会見を行うマレーシア警察=22日、クアラルンプール(AFP=聯合ニュース)
正男氏殺害に関与しているとみられる人物について会見を行うマレーシア警察=22日、クアラルンプール(AFP=聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏がマレーシアで殺害された事件で、事件に関与しているとされる北朝鮮大使館のヒョン・グァンソン2等書記官に対するマレーシア当局の捜査は外交官の免責特権により阻まれるとみられる。 マレーシア当局は逮捕状の発付を予定するなど強硬な態度を見せているが、北朝鮮が免責特権を理由に協力を拒否した場合、捜査は難航する見通しだ。 23日の現地メディアの報道によると、マレーシア外交当局者はヒョン・グァンソン氏の身柄を国際法に違反しない方法で確保し、捜査に協力させることは事実上不可能だとみている。 外交関係に関するウィーン条約により、単純な行政職員を除き、主要職務に就く大使館職員は民事・刑事上の起訴を受けない免責特権を持つためだ。 ここには大使と公使参事官、参事官、1~3等書記官が含まれる。国防と貿易の担当官も外交官とみなされ、免責特権を持つ。 ある高位級外交官は「マレーシア政府はヒョン・グァンソンを『外交上のペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)』として宣言し、(国外に)追放することができるが、捜査の役には立たない措置だ」と述べた。 マレーシア弁護士協会のアンドリュー・クー共同議長も「国際法を犯さない限り、ヒョン・グァンソンに捜査への協力を強要する手段はない」と話す。 一部では、マレーシアが北朝鮮との国交を断絶した上で24時間以内に出国命令を下したにもかかわらず外交官がこれに応じないなどの特殊状況でもない限り、警察はヒョン・グァンソン氏の身柄を確保できないとの観測まで出ている。 ただ、一部の法律専門家はヒョン・グァンソン氏が外交官だとしても自動的に免責特権を持つものではないと指摘している。 2014年、同性愛行為をした罪で起訴されたマレーシアのアンワル・イブラヒム元副首相の弁護を担当した弁護士は「免責特権の対象に対する駐在国と本国間の合意が先行されなければならない」とし、「ヒョン・グァンソンは外交官級の職員であるかもしれないが、それが免責特権を持つという意味ではない」との見解を示した。 マレーシアは大使を除く他国の外交官に対して、慣例により身元調査を実施していない。 ヒョン・グァンソン氏も、当局の身元調査を受けずにマレーシアに入国したと伝えられている。ヒョン・グァンソン氏が外交官に偽装した北朝鮮国家保衛省所属の工作員であるとの疑惑も提起されている。 マレーシア警察は22日、北朝鮮大使館にヒョン・グァンソン氏と高麗航空職員のキム・ウクイル氏を警察に出頭させ、取り調べを行えるよう要請する文書を送った。北朝鮮大使館側からはまだ返答がないと伝えられている。 警察は大使館が要請に応じない場合、2人に対して逮捕状を発付する予定だと明らかにしている。 一方、北朝鮮は23日に「朝鮮法律家委員会報道官の談話」として事件に対して初めて反応を見せ、「死亡者が外交旅券所持者でウィーン条約による治外法権対象であり、絶対に司法解剖はできないということを明白にした」と主張し、正男氏の司法解剖に対してもマレーシア当局を非難した。
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