【ソウル聯合ニュース】不正や汚職のないクリーンな社会をつくろうという国民的合意の下、公務員らへの食事接待や贈り物、慶弔費の上限を厳しく定めた「不正請託および金品など授受の禁止に関する法律」が韓国で28日から施行される。 同法は、温情主義や縁故主義が根深い韓国社会ではびこる口利きの風潮や接待文化、さらに人間関係に多大な変化をもたらすと予想される。学閥や地縁、血縁などの関係が通じない、クリーンな社会を目指して第一歩を踏み出すことになる。 同法の適用対象者は公務員や教員、メディア従事者とその家族ら約400万人だが、それぞれの職務や付き合いの範囲が広いため、事実上、国民の生活全般に対するルールとならざるを得ない。 同法が目指すのは「縁に頼った不正な依頼」の根絶だ。社会の腐敗の連鎖を断つため、金品のやりとりを禁じ、食事や飲み会の席での割り勘を広げる狙いがある。 法の適用対象者が職務と関連のある人から1回100万ウォン(約9万円)以下、年間300万ウォン以下の金品を受け取れば、対価性が立証されなくても2~5倍の過料を科される。同一人物から受け取った金品が1回100万ウォン、年間300万ウォンを超えれば刑事処分を受ける。 法の適用対象者がやりとりできる食事、贈り物、慶弔費の上限はそれぞれ3万ウォン、5万ウォン、10万ウォンだが、これも社交や儀礼の目的に限られる。 同法はすでに社会の全般で作動し始めている。国会議員らはこれまで、国政監査の際には監査を受ける機関から食事の接待を受けるのが慣例だったが、26日に始まった国政監査ではこうした光景が見られない。公務員はいらぬ誤解を招かぬよう、外部の人との食事の約束そのものを避けており、コミュニケーションの低下を懸念する声も出ている。 経済への悪影響も予想される。消費が冷え込み高級レストランが廃業し、贈答用の花を売る花き業界が大打撃を受け、ゴルフ場の売却が増え、企業のマーケティング活動が萎縮することなどが考えられる。 しかし、だからといって法の執行が揺らいではならず、きちんと韓国社会に根付くよう、初期のうちから厳正かつ断固として適用する必要がある。経済的な弊害は別途の対策で解決することだ。 だが、法のあいまいさは整理しておく必要がある。議論を呼ぶのは、対価性の判断に絡む「職務との関連性」だ。この部分があまりに包括的で不明確な上、関連性の判断は職種ごとに異なるため、相当な混乱が予想される。 ただ、こうした混乱は時がたち判例が増えれば自然と解消されるはずだ。政府は2018年に同法が適正かどうかを検討する予定にしている。施行の過程で指摘される問題点はそこで十分な論議を経て改善すればいい。 国民の過半数は、韓国社会が腐敗しているとの認識を持っている。名実共に先進国となるため、よりクリーンで透明な社会づくりを進めなければならない。これは正しく生きる人が損をせず、尊重される社会を実現するための近道であり、国の競争力を高める道でもある。法の適用対象者を含めた全国民が、同法をしっかり定着させるため力を合わせるべきだ。
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