【ソウル聯合ニュース】韓国ロッテグループのナンバー2で辛東彬(シン・ドンビン、日本名:重光昭夫)グループ会長の最側近である李仁源(イ・インウォン)政策本部長(副会長)が26日午前、ソウル近郊で首をつって亡くなった状態で見つかった。ソウル・竜山区に居住する李氏は前日午後10時ごろ、散歩に出ると外出したまま帰宅しなかった。遺体発見現場近くに止められていた李氏の車の中からはA4用紙4枚の遺書が見つかった。遺書には「先にいってすまない。辛東彬会長は立派な人だ」と、個人的な心境とともに辛会長をかばう内容が書かれていた。李氏はグループの不正資金疑惑に絡み、当日午前9時半からソウル中央地検で取り調べを受けることになっていた。検察の捜査に対する負担感と重圧が自殺という極端な選択をした要因になったとみられる。 李氏はグループのコントロールタワーである政策本部のトップとして、創業家やグループ、系列会社の多くのことを総括するポストにいた。グループの不正資金疑惑の核心である辛会長とは極めて近い関係だった。李氏の供述は公判を維持するためでも重要だ。それだけに検察は主要被疑者の管理を十分に行っていなかったとの非難を免れない。これまでも似たような事例が頻繁に起きている。昨年、資源開発をめぐる不正問題で捜査を受けていた建設会社会長、成完鍾(ソン・ワンジョン)氏が勾留質問当日に自殺した。2009年の盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の自殺も検察の捜査と無関係ではない。2003年には北朝鮮への送金問題で捜査を受けていた現代グループの鄭夢憲(チョン・モンホン)会長が投身自殺するなど、捜査対象となった要人の自殺が絶えない。大きな事件に関わる被疑者については、変わった動きや特異動向をより綿密に注視して対処する必要がある。 ロッテグループの不正資金疑惑をめぐる捜査は6月初めに本格化し、2カ月以上が過ぎた。検察は李氏の自殺を受け、捜査日程を再検討するとの立場を示したが、捜査が中断してはならない。 創業家の6000億ウォン(約550億円)台の脱税疑惑、ロッテ建設の500億ウォン台の秘密資金疑惑、グループ系列社間の不正取引などに対する検察の捜査は最終段階に入ったとされる。李氏は遺書に「裏金はない」と書いたが、検察は関連容疑の証拠を確保したとされる。現在、グループや系列会社の役員・実務者に対する捜査はほぼ終わったとされる。捜査が最終段階に入っただけに、不正疑惑の実体が明確になると予想される。創業者の長男と次男が経営権を争う「お家騒動」が続く中で、不正疑惑が浮上したロッテグループは今回の捜査を機に、透明かつクリーンな企業として生まれ変わるべきだ。韓国財界5位のグループが兄弟間の経営権争いと検察の捜査で正常な経営が行われていないのは不幸なことだ。
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